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【31MEU県外移転提言 ND辺野古代案 米でシンポ】(沖縄タイムス 7/14)
【平安名純代・米国特約記者】元日本政府高官やジャーナリストらがメンバーのシンクタンク「新外交イニシアティブ」NDは12日、米首都ワシントン市内のイースト・ウエスト・センターでシンポジウムを開き、日米両政府が進める米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設計画は県民に受け入れられないとし、米海兵隊の運用の見直しを柱とする「辺野古に代わる選択肢」を発表した。日本側から具体的な代替案が提言されたのは初めて。
代替案は、現行の米軍再編計画を見直し、普天間に駐留する第31海兵遠征隊(MEU)の拠点を沖縄以外に移転し、現行のローテーションをさらに拡大させる方策などを柱とする構想。
シンポジウムは、屋良朝博氏元(元沖縄タイムス論説委員)と半田滋氏(東京新聞論説兼編集委員)、猿田佐世弁護士(ND事務局長)、マイク・モチヅキ氏(ジョージ・ワシントン大学教授)が登壇した。
屋良氏は、「沖縄の実戦部隊を別の所に移せば、問題の大部分が解消する」と指摘。「約7割もの県民が反対する計画を強行すれば抗議行動の矛先は嘉手納基地へと向かう」と計画に執着する日米両政府の姿勢を批判し、米軍の運用や日米同盟にも影響を及ぼすと警鐘を鳴らした。
モチヅキ氏は、「この問題を解決する鍵は、政治の膠着状態をどう打ち破るかだ」と指摘し、現行計画が最善で効率的だと主張する安全保障専門家らへアプローチする必要性も指摘した。
屋良氏ら一行は、15日まで同市に滞在し、米議会や米政府関係者らと面談し、同提言の検討を要請する直接行動を展開する。
「抑止力」論克服へ一歩
【平安名純代・米国特約記者】米首都ワシントンで名護市辺野古の新基地建設計画に代わる提言を発表した「新外交イニシアティブ」(ND)。日本政府の主張の矛盾を示して在沖縄海兵隊の「抑止力」を否定し、運用法の変更を柱とする同提言を新たな議論の幕開けと位置付ける。一方、政策決定機関へどうアプローチするかなど今後の課題も残した。
東京新聞論説兼編集委員の半田滋氏は、日米両政府が強調する抑止力について発言した。2006年の日米合意時、日本政府は実戦部隊の移転で抑止力が低下すると拒否していたが、米側が6年後に移転を提案するとあっさり合意。「あれほど強調していた抑止力に関する説明は何もなかった」と主張の変化に疑問を呈した。
元沖縄タイムス論説委員の屋良朝博氏は「日米両政府は移設先がどこかというこれまでの発想から抜け出し、米海兵隊の運用法の変更による現実的な解決方法を見出すべきだ」と新たな論議を促した。
ND事務局長の猿田佐世氏は、沖縄県民の怒りは限界を超えている」と述べ、辺野古に固執する日米両政府の姿勢こそが同盟の危機を招いていると強調。ジョージ・ワシントン大学教授のマイク・モチヅキ氏は提言に同意しつつも、両政府が現行計画が最善と主張して譲らない「政治の壁」の厚さをどう破るかが問題解決の鍵ではないかとの見解を示した。
会場には、日本メディアや米シンクタンク関係者ら約40人が足を運んだ。講演後の質疑応答では、政府の政策に関する提言は決定権を持つ機関にまずアプローチすべきだとの指摘が出た。