NDは、日本政府の外交・安全保障政策とは異なる意見が、国際的にはほぼ知られることのないことに強い危惧を覚え、【ND Compass – Crossing Borders, Demystifying Japan(NDコンパス – 国境を越える・日本を知る)】プロジェクトを開始します。
これまで、日本の安全保障や外交政策について「日本の声」として英語で発信されてきた言説は、日米の軍事一体化を押し進めようとするものや、辺野古での新基地建設の重要性を謳うもの、抑止力のために自衛隊の防衛力強化を求めるもの等、「勇ましい」言説に限られていました。
その結果、外交の現場や有識者の討議の場では、日本にはそのような言説しかないという前提で議論が進められ、国際的な共通認識となってしまっています。そして、そのような共通認識に引きずられるようにして、日本の政策も近隣諸国との緊張を一層高める方向に進められている現状があります。
しかしながら、日本には、軍事偏重ではなく外交で緊張緩和を図ることや、東アジアに協調的な安全保障システムの構築を求める言説、「唯一の戦争被爆国」であり憲法第9条を持つ「非戦の国」であるというソフトパワーを活かした安全保障の在り方など、オルタナティブな言説も力強く存在しています。それはまた、他の国では発信し得ない、国際的に貴重な声でもあります。
私たちはそのような言説を世界に発信していくために、外交、安全保障、憲法、日米地位協定、核兵器、日中関係、日韓関係、アジア地域連携、エネルギー問題等、各分野の専門家の方々の論考を集め、英語への翻訳を進めています。
下記から、日本語、英語をご覧いただけます。
岡田充(共同通信社客員論説委員)
柳澤協二(新外交イニシアティブ(ND)評議員/元内閣官房副長官補)
半田滋(防衛ジャーナリスト)
踏み越える「専守防衛」-憲法改正なき自衛隊の軍隊化- 日本語 英語
石坂浩一(立教大学准教授/異文化コミュニケーション研究科)
飯田哲也(環境エネルギー政策研究所(ISEP)所長)
青井未帆(学習院大学法科大学院教授)
日本の「平和憲法」-立憲主義の見地からの一考察- 日本語 英語
黒崎宮子(へいわ創造機構ひろしま リサーチコーディネーター)
核なき世界に向けた日本のリーダーシップ
―「被爆国」と「核の傘の下にある国」という二つの立場を生かして― 日本語 英語
久保木太一(新外交イニシアティブ(ND)研究員/弁護士)
日本のプルトニウム問題-プルトニウム削減に向けて- 日本語 英語
岡本厚(元『世界』編集長、新外交イニシアティブ(ND)アドバイザー)
日韓関係「国交正常化以来最悪の状態」はなぜ生じたか 日本語 英語
松久保肇(原子力資料情報室)
明田川融(法政大学教授)
羽場久美子(青山学院大学名誉教授/世界国際関係学会(ISA)アジア太平洋会長)