【達眼~玉城知事訪米~訪米成果 米議会で実感 猿田佐世 新外交イニシアティブ代表】(沖縄タイムス 11/17)
玉城デニー知事の熱意に応え、世界のウチナーンチュによる声明に多数の賛同が集まっている。今回のニューヨーク大学講演も県系人が企画した。
県系人・米市民への訴えかけが訪米の主目的と聞き、自分のワシントン在住時を思い出した。ネットワーク・フォー・沖縄というNGOネットワークを作って基地問題に取り組んだ。環境NGOや平和団体などの頼もしい仲間ができたが、多くは既に他の問題で忙しく、広がりに欠けた。県系3世の夫と共に県人会にも協力をお願いしたが「基地問題には県人会は関与しない」との返事だった。米国での市民社会や県系人への働きかけは容易ではない。
その県系人が動くきっかけをつくった今回の訪米の意義は大きい。今後、このうねりをどのようにすれば大きくしていけるのか。米国の県系人にしても市民社会にしても、具体的行動を続けてもらうためには、継続的な働きかけが欠かせない。
継続といえば、ワシントンで驚いたことがある。近年、沖縄の知事や市長、議員、市民などの訪米団が継続して米議会に働きかけてきたため、米議会は表に現れない形で大きく変化した。10年前、私が初めて米議員に辺野古基地問題を訴えた時、この問題の担当議員から「沖縄の人口は2000人か」と質問を受けた。今日、米議会を回れば「数ヶ月前に沖縄の人から話を聞いた。そのアップデートを聞きたい」から会話が始まる。隔世の感がある。継続した働きかけの成果である。
もっとも、具体的変化を生み出すには米国の人々の行動につながる働きかけを継続しなければならない。働きかけの連携も必要だろう。私は本年、鳩山由紀夫元首相や枝野幸男立憲民主党代表の訪米を企画・同行したが、両氏とも随所で沖縄の米軍基地問題について訴えている。その面談相手についての情報を共有できれば、一から説明をする必要はなく、具体的ステップについて議論できるだろう。ニューヨークでも、2014年に稲嶺進前名護市長が市民団体や大学で講演を行っている。これまでの蓄積に、うちなーの動きを作り出した今回の訪米の蓄積を重ねて、今後、さらに具体的変化につながる働きかけの継続を期待したい。