新外交イニシアティブ(ND)理事 鳥越俊太郎/マイク・モチヅキ/柳澤協二/山口二郎
2015年2月16日
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2015年1月5日、ジャパンタイムズ紙が新外交イニシアティブについての記事「シンクタンクが日米外交に沖縄の声を届ける」を掲載しました。約一か月後、在沖米海兵隊のロバート・エルドリッジ政務外交部次長がジャパンタイムズ紙のウェブ上でこの記事に対するコメントを投稿。このエルドリッジ氏のコメントは、2月13日の沖縄タイムス、14日の琉球新報で批判的に取り上げられました。
新外交イニシアティブは、エルドリッジ氏の「日本における新しいシンクタンクの設立は市民社会にとってとても良いことだ」との見解を共有します。新外交イニシアティブの理事やスタッフ一同は、既存の外交チャンネルを使いながら、また、新たな外交チャンネルを作りながら、様々な声を外交に届けるために集まり、取り組みを続けてきました。多くの情報が既存の外交チャンネルに届かずメディアにも取り上げられないため、新外交イニシアティブは、政治や外交についての情報を収集、発信し、多様な声が反映されるよう政策提言を続けています。
エルドリッジ氏は、沖縄の人々の辺野古基地建設への反対を「不協和音」に例えました。また、このエルドリッジ氏のコメントに加え、広く報道されているように、上述したジャパンタイムズ紙の私たちについての記事に返答する形で在沖米海兵隊報道部次長のケイリブ・イームス大尉は、沖縄の基地反対派の人々が「怪我をしたかのようにみせる努力をしており、ばかばかしい(laughable)」とコメントしています。
問題は、現在、少数の人々だけが日米外交において影響力を有していることです。外交は現実社会の上に成り立つものでなければなりません。もし沖縄の人々が「騒音(noise)」を立てているのであれば、その「騒音」は、両国の政策 決定権者たちに届けられねばならないのです。日米両国とも民主主義国家なのですから。
エルドリッジ氏は、日米政府の見解こそが公平であり、それに反対する見解は偏っているとするようですが、このような姿勢は非民主的であり、また有効で賢明な方法による問題解決を妨げます。
エルドリッジ氏から新外交イニシアティブの資金源の透明性について懸念が示されていますが、私たちは会員の皆様からの年会費やシンポジウムにおける寄付や参加費を活動資金としています。実際、私たちの団体は資金的に恵まれているわけではありませんが、自らの声を届けたいと望む多くの人々に支えられていることを誇りにしています。私たちは常に新しい会員を歓迎します。
エルドリッジ氏が述べるとおり、在沖米軍基地問題についてのさらなる研究は非常に重要です。そしてその研究は「客観的建設的に、事実に基づいて」なされねばなりません。新外交イニシアティブは、これまでも、そしてこれからも、客観的建設的に、事実に基づきながら、研究や政策提言に取り組んでいきます。皆様のご支援に心から感謝を申し上げます。
※原文は英文